Oh, So Funny

日常のことを書いていくつもりだったんだ。

『浪漫亭』秋葉原で足湯に入れる異色のコンカフェに行ってきた

秋葉原には、コンセプトカフェが大量にある。

王道のメイドは言わずもがな、女子高生、OL、魔女、人形、忍者、スパイ、果てには“男の娘”をコンセプトにしている場所もある。
正直に言ってしまうと言葉のインパクト重視であり、どうにかして話題になったもの勝ちという印象が拭えない状態だ。

そんな混沌渦巻く秋葉原コンカフェ事情のなか、先日自分が足を踏み入れたのが、“足湯”に入れることが売りという、異色さ際立つコンセプトの『浪漫亭』である。

赤い鳥居をくぐった先に出現する足湯

浪漫亭は少し特殊な位置にあり、巫女喫茶『秋葉亭』の店内の奥にある。
秋葉亭は元々『秋葉原神社』という、フィギュアの供養などができるいかにも秋葉原らしい神社の跡地にできたコンセプトカフェで、そのときの名残として入り口には立派な赤い鳥居がある。

※以下のツイートの3枚目の画像に写っている鳥居

鳥居をくぐり、普通に営業している秋葉亭をそのまま素通りし、奥に通されると10人ほどが座れる長いカウンターが現れる。
内装は和をモチーフにしており、カウンター下はなぜか怪しく光っていてよく見るとそこが足湯になっていた。

キャスト(店員)の制服は内装と同じく和風となっていて、上は振り袖を帯で締め、下は学生服のようなプリーツスカートと、大正浪漫に秋葉原のコンカフェらしさがほどよくミックスされており、モダンでハイカラな感じだ。

足湯前におとずれるピンチ

元々自分は「温泉」に行くことがほぼなく、健康ランドやスパなどとも無縁の生活を送ってきた。
ここ10年の記憶を思い返してみても、温泉に行ったのは友人とアイドルの追っかけで山梨へと遠征した1回のみだ。

当然、足湯にも馴染みがない。というより初めての経験である。
初体験を秋葉原で迎えたわけだ。ここの文章だけ抜き出すとなんとも艶めかしい感じがする。

足湯に入ると聞いたときは「知らない人が足を入れた湯に自分も足を入れるの…?え…秋葉原だよ…?オタクが足を入れた湯だよ……!?」などと、自分自身もオタクでありながらド失礼なことを考えていたのだが、浪漫亭では専用の足洗い場が用意されており、そこで入念に足を洗ってから足湯に入るようになっていた。
ほっと胸を撫で下ろしたのもつかの間、秋葉原流の洗礼が待ち受けていた。

キャストの子がタオルを手に持ちこう言うのだ。
「それでは足拭きますね〜」と。




……当方、オタクである。「キャストには触れないように」という教育を受けて生きてきた。
それがどうしたことか。キャスト側から「足を拭く」と言ってきたのだ。
これには参った。戸惑いはもちろんのこと、気恥ずかしさもある。そもそも女の子に足を拭いてもらうという行為自体が初めてなのだ。足湯に入る前に別の初体験である。

「自分で拭くから」と言ったものの、幸か不幸か担当の子はグイグイ来るタイプで「恥ずかしがらないで足出して(笑)」と問答無用で足を拭いてきた。
まさか三十路手前にして子供のように他人に足を拭いてもらう日が来るとは夢にも思わなかった。
このとき自分がなんともいえない顔をしていたからだろうか、女の子は無邪気な笑顔を浮かべながらなんと足の裏をくすぐってきたのだ。
チョロいオタクなら一発で恋に落ちる事案である。
情けないことに、自分の口からは「いやいや、ハハ…」という照れ笑いの声しか出なかった。

あとで聞いた話なのだが、一緒にお店に入った友人も同じことをされていた。
客の緊張をほぐそうという彼女なりの接客術だったのかもしれない。できるキャストである。

いざ、足湯初体験

足を綺麗にしたところで本番の足湯へ。

足湯の深さは30cm弱ほどあり、足首より少し上までつかるくらいを想像していたので思ったより深いことに驚いた。
湯温はそれほど熱くなく、ゆるま湯といった程度。


――なるほど、これは気持ち良い。

秋葉原は土地柄歩き回ることが多く、足が疲れることが多々ある。そういうときにこの足湯で休息を取るのは良いかもしれない。

浪漫亭は普通のコンカフェと同じように1時間チャージ制となっていて、チャージ料は1,200円と少々お高めだがこの足湯の気持ちよさを考えると納得。
しかもチャージカウントが始まるのは足湯につかったタイミングからで、前述した足洗い場のやりとりは時間外だったのである。

1時間ごとに1ドリンク必須なので何を頼もうか迷っていたのだが、せっかくだからとお酒を注文。
店の雰囲気に合わせて日本酒にしたかったが、自分はあまり得意ではないので断念。友人が頼んでいたレッドブルウォッカを同じく注文することにした。

友人たちと足湯につかりながらの乾杯。素直に楽しい。

足湯で体温が上がっているせいかアルコールの巡りが早く、お酒に弱い自分はすぐにほろ酔いになってしまった。いつも飲むペースでお酒を頼むのは少し危険かもしれない。

コンカフェらしくキャストの子――誘ってくれた友人の目当ての子や、出勤2日目という初々しい子など――と話しているうちにあっという間に時間は過ぎ、予定があった自分たちは浪漫亭を後にしたのであった。

また行きたくなる高い満足度

この記事を読んで浪漫亭が気になった人はぜひとも次の休みに足を運んでほしい。

ほかのコンセプトカフェにはない“足湯”という強力な魅力にやられること間違いなしである。
下手すると好みのキャストに会いに行くというより、足湯につかりたいから行くという気持ちになるかもしれない。
実際、自分はその気持ちになっている。

秋葉原に行く機会があまりないので次に行けるのはいつかはわからないが、行った際は浪漫亭にも足を運ぼうと思う。

本格的な足湯が楽しめる異色のコンセプトカフェ『浪漫亭』。
秋葉原はコンセプトカフェ激戦区ということもあり入れ替わりが激しい場所であるが、なるべく長く続いてくれるよう願うばかりだ。